三沢

三沢光晴が亡くなった。

俺はプロレス者というわけではない。ノアに限らず、2000年以降プロレスをテレビで見たのは片手で足りるくらいだ。だけど、三沢が特別な人間だというのは知っているつもりだ。

血の色の汗を流しながら、黙々と技を受けきる異常なまでのタフさ。

海千山千の人物が跋扈する世界で頑なに筋を通そうとしたこと。

誠実さという深さと、シモネタという奥行きの巨大な器からこぼれ出す、傑物としかいいようのない数々のエピソード。

そして、「1990年代以降のプロレス」という莫大なハンデを、それとわかっていて丸ごと引き受けた上で、自身の肉体と精神で感動的な光景を何度も何度も描いたこと。

タフで大親分で好漢で傑物で怪物的なパフォーマーであっても、人はいずれ死ぬ。それにしても、あの三沢が、リングで死ぬなんて・・・・

だけど言わなければならない。今までありがとう。安らかにお眠りください。