第33節: 福岡 2-2 鳥栖

準備

木曜日発のながらを使い、18きっぷで福岡へ行くことにした。

ながらの指定は三週間くらい前に買ってあって、18きっぷは水戸に行ったときに買って、その後二日分使ってるので福岡へ行く分なら余裕だ。

そう思って、木曜日、仕事へ行く前に福岡行きの準備してたら18きっぷがない。あれれれ?これはどうしたことですか?とアチコチ探しまくるが、ない。

指定席券しかないんである。

なんだなんだと慌ててるうちに起き出して来たかあちゃんに、ハンコをポコポコ押してある惨めったらしい切符を知らないかと訊いてみる。そうすると、ウーンという顔をして財布とか文机とか点検して、納得した顔をしてから「捨てた」と言うのである。そんで11500円を俺に渡して「グダグダ言うなコレで買って来い」というようなことを言うのである。

こうなると何のために18きっぷを使って九州くんだりまで行くのかよくわからなくなってくる。最初の動機は「きっぷが余ってるから、我慢して乗る」だったのに、これではまるで敢えて20時間以上かけて電車に乗ってるみたいではないか。脳内で猛烈に悪態をつきつつ、木曜の仕事をさっさと切り上げ、新宿西口の金券屋で三日分の18きっぷを買った。6600円。

行き

新宿できっぷを買った後、一度家に帰ってから東京駅に向かう。前の日にあまり睡眠時間を取れなかったので、ながら車内では結構な勢いで眠る。俺には冷房が強く、長袖Tシャツを持ってきたテメエの眼力に改めて惚れ込みつつ、ガーガー寝ているうちに、「・・・・そのため、当列車は次の豊橋にて運行を打ち切ります」などと聞こえてきた。

なんだなんだ そのためってなんのことだと周りを見渡したが、大半の人は眠ったまんまか、アナウンスで起きた人も肝心の理由部分は聞いてなかったようで俺と同じようになんだなんだ顔をしている。

電車を動かすのを止めるってくらいだから大雨かなと思い、山側の空を眺めてみると稲光が見える。

車内アナウンスでは、盛んに東海道始発の6:00の電車に乗れとのたまってるが、ながらで通れない所を6:00の電車が通れる理由はないだろう。騙されてるなあと思うが、天気のことで文句言っても仕方ない。とりあえず豊橋についたら駅前のコンビニに時刻表を買いに行った。豊橋には雨は降ってないが、夜が明けてくると西の空にはブキミな雲が垂れている。こりゃ相当ふってんだろうなあ・・・というのは納得できた。そして、南の空には巨大な虹。よく見てみたら虹の外側にもうひとつ虹が掛かっている。2004シーズンの山形戦を都合よく思い出した。

ところで、6:00に豊橋を出たら大垣から先に乗るはずだった電車にはもう乗れない。とりあえずその場合の乗り継ぎや、ワーストケースで博多駅最終に間に合うにはいつ大垣・米原に着けばいいのか時刻表を眺めてるうちに6:00になった。で、やっぱり電車は動かない。

駅の放送では盛んに「安全点検のため・・・」などと言ってる。ちなみに名鉄はぴくりとも動いてない。

新幹線は徐行で動いてるって話だったから、名古屋まで新幹線でさっさと抜けるか・・・と思ったが、名古屋まで出てもそれから先ちゃんと運転してるかどうかわからんし、米原まで乗ると高い。ワーストケースだと10:00頃に豊橋を出れば博多着の最終電車に間に合いそうだったので、10:00まで粘ることに決める。

こういう場合の構内放送は、大抵ションボリトーンのショボクレ放送で、「線路の安全が確認でき次第・・・」とか「赤信号のため停車です・・・・」などと延々、何の役にも立たないことを繰り返すもんだが、8時すぎに妙に浮き立つトーンで放送が始まる。「オッ、来ましたか?」と耳を澄ますと、もうすぐ電車動くから!俺たちやるから!期待して!みたいなことを言ってる。そうだよね、いつまでも止まってるわけないよね、とこっちも同じ程度に浮かれて電車に乗る。そんで8:20ごろ岐阜行きが本当に動き始めた。

いやー、やっぱ電車は動いてナンボだよねーと喜びつつ、そうかこれ快速じゃないから大垣につくのがエライ遅いんじゃないか?などと時刻表を眺めてたら、油断ならないことに電車はノロノロ進んだり止まったりを繰り返してる。名古屋どころか隣の駅にも着いてない。10分以上かけてやっと隣の西小坂井についた。と思ったら、今度は電車が発車しない。50分待って、ようやく「岡崎と西岡崎の間で線路が冠水しており・・・」とカミングアウトされたときは車内全員がコケてた。四時間かけて一体なにを点検してたんだお前らは。面白すぎるぞ。

ところで、結構ヒドイ目にあいながら豊橋近辺の善良な皆様方は、声を荒げて駅員に詰め寄ったりを、俺が知ってる限りでは一切してなかったのが面白かった。一部キンキン声を張り上げてどうしようもないことを主張してる奴がいたが、それは旅行者ばかりだった。おおらかなのか合理的なのかわからんが、なんか「豊かな人たち」という印象を受けた。

それはともかく、このままだと大垣に着くのがいつになるのか見当がつかん。確実に先へ行くには豊橋に戻って新幹線に乗るしかないが、逆方向の電車だって来るのか来んのかわからん。一駅くらいならなんとかなるだろうと思い、思い切って豊橋まで歩いて戻ることにした。EZナビで地図を適当に確認してから、炎天下を歩き出す。とても近隣のエリアで大雨食らってるとは思えん天気だ。

途中、EZナビではわからん大回りポイントを無駄に回って、10:15に豊橋着。新幹線自動券売機にすごい列が出来てる。焼け太りかよこの野郎、憎いねどうも。

10:45くらいのこだまで名古屋に出て、米原までひかり。あとはわりと順調に乗り継いで、博多駅最終に間に合う。

博多駅で、同じように豊橋で足止め食った奴が、そのせいで1000円以上を払うハメになってしまいキンキン声で駅員に抗議していた。心底ゲンナリする声だった。

どうせ明日は雁ノ巣に行くのに18きっぷを奢るつもりだった俺は、大きな気持ちで3つめの判を押してもらう。木曜の夜に東京を出て、金曜深夜着。26時間程度だけど、足掛け三日だ。

お風呂に入ってからちゃんぽんとビール。すぐに寝た。

雁ノ巣

8時前に起きて雁ノ巣へ。メンバー外の練習を見に行った。

数日前に加入した丹羽とおぼしき男が、練習前に淡々とピッチを走ってる。そのほかにも見たことない奴が二人。福大の宮路と、永井だったらしい。永井が来てたのは今日のところは練習の頭数あわせで、来年以降強化指定したい・・・という話を耳にしました。

篠田監督や藤川コーチも現れ、練習が始まる。有吉さんがリードしてメニューをこなしていた。

多くの練習のテーマは、状況判断と予測だった。いまどこに味方と敵がいて、そしてそれが一秒後・二秒後にどう動いてるかを予測しながらボールに触る。

だけど、その意図からこっぱずれところでただ身体を動かしてるだけのレギュラークラスの選手がいたのには驚いた。なんか、感じたり考えたりといったことで頭を使ってなさそうなんだよな。

印象的だったのは、やっぱり釘崎。自分の型にハメたときの破壊力は普通じゃない。試合だとその自分の型に全然持っていけないんだけど。

居残り練習はゼロ。

見てたのが俺入れて五人程度なのには驚いた。広い空の下、俺の選手達がボール蹴っているのを見るだけで相当幸せな気持ちになれる。雁ノ巣はいいところだ。

お迎え

カミさんとまめ太・まめ次郎が飛行機でやってくるのをお出迎え。送迎デッキで着陸を眺めてから一階へ回る。

落ちるかも知れないと思いながら見る飛行機の着陸は迫力満点だった。

スタジアム

ホテルにチェックインしてからシャトルバスで博多の森へ。今日からレベルファイブスタジアムの正面につけてくれる。

空港周辺で渋滞してて、結構時間がかかる。

カミさんのチケットはTさんに手配してもらった。

試合

鳥栖はとにかくデカくてゴツい2トップに当ててくる。これをまた上手く収めるんだな。直接それに対応してる聡と亨チャン自体は問題なかったと思う。危なっかしいのは数的に同数になってることが多いからで、これはCBだけの問題じゃない。

二点目はしょうがない。一失点目は城後の位置取りが良くなかった。

ビデオで見たら、久永の二発はどっちも結構難しいシュートだったんだな。

残念だけど引き分けはフェアな結果だと思う。

初めてメインSAで試合を見たんだけど、周囲はものすごく試合に入り込んでた。

うまく火がつけば、レベスタはもっとアウエーチームにとってやりにくいスタジアムになると思う。

久々の博多の森は最高でした。俺は普段関東以北の、地の果てのような場所にある陸上競技場で試合を見ることが多いんだけど、臨場感や切羽詰った雰囲気・ゴールを決められたときの静寂と決めたときの狂いっぷり、森と比べると同じカテゴリの試合を同じようなカネだして見てるとはとても思えない。レベスタは本当に素晴らしいよ。

俺が頭抱えるたびにまめ次郎が珍しいものを見たという顔をして笑っていたのが面白かった。

帰り

一泊を福岡で、近場の温泉でもう一泊した。温泉では中野区をナメられちゃいかんを合言葉に、結構なボリュームの夕食を完食。カミさんは1.5kg太ったと言っていた。

福岡に戻って、昼ごはんはオールタイムベストラーメン 玄瑛で。出発には時間があったので海の中道へ行き、海へむかってまめ太と石を投げまくってやった。

そろそろ出発だから・・・と18:00ごろ福岡空港に来ると、カミさんが「ところでアタシ達の航空券は?」などと不気味なことを言い出す。最初、何かの冗談かと思ってたがそうではない。なんと帰路の航空券を紛失というか、紛失以前に最初からどこにあるのかわかってないらしいのだ。旅行会社のよこした紙切れを読むと、羽田のカウンターで往復の航空券とホテルのチケットを渡すって書いてあるじゃん!どっかにあるんじゃん!とキイキイ言ってやるが荷物を全部ひっくり返しても出てこない。

仕方ないのでカミさんとまめ太には最終ののぞみで帰ってもらった。俺もテンパってて、本来必要ないまめ太の乗車券を買ってしまうというオチをつけてしまう。

俺とまめ次郎は別途手配していた飛行機で帰る。奴は気圧変化で耳が痛くなると大泣きするという話だったが、特に破綻なく無事羽田着。京急から浅草線経由で帰宅した。

結論

1) まだあきらめる理由はない。

2) 福岡は確かにダメチームだが、ダメだから好きな気もしなくもない。政治的に正しくて商売上手でロジカルで強い福岡だったら、俺はここまで入れ込んでいたかなと思う。守備の破綻や無能なフロント程度かわいいもんだ。アホな社長は・・・オマエ、駄目すぎてリーグから監査が入るって話聞いたぞ。