新リア王

まず、超大上段なタイトルに思わず笑ってしまった。けど、全然タイトル負けせずに当たり前のように怒涛の筆力で押し切ってしまうから高村薫は凄い。

脳みそと下半身をぶっといバスで直結して、あとは胴体に孔を10コばかりあければそれで完成でございますみたいな女。

高村薫がときどき描くそういう女が、この本にも出てくる。言いたいこともやりたいことも考えたいこともないから、物語の軸には絶対ならない。そういう妙な脇役が、とても気になる。

なんなんですかね、あの女たちは。脳と肉体の切羽詰った相克を高村薫は追うのがおそらく好きで、そういう彼女からしたらそこからびっくりするくらい遠い所でうごめいているウスラを書いててもイライラするだけだろうに、一体何が彼女らを繰り返し描かせるのか、考えるのが最近俺の脳内で流行ってます。