呆然としないために~映画「サウダーヂ」雑感

先週の平日、夕方の回に見てきました。

客層が面白くて、なぜか50代以上の方が非常に多かった。40%くらいはそういう方々だったんじゃないか。ちょっとだけ武蔵野館での「母なる証明」の客席を思い出した。一体どういうチャンネルでこの映画を見に来たのか、気になった。

あと映画館絡みの話だと、俺はそんなの初めて体験したんだが、上映の途中でフィルム(?)が止まった。止まったあと、陰気な声で詫びがアナウンスされ、ちょっと巻き戻したところから上映が再開されたんだが、一体なんなんだ。そしてあの陰気な声で陰鬱な右翼ラップをやっていただけると結構ハマるんじゃないかと思うがどうだろうか。

ことしに入って

「アジョシ」「EXILE 絆」「シティ・オブ・ゴッド」「冷たい熱帯魚」「歓待」「キックアス」「スーパー!」「SUPER8」「トイストーリー3」「塔の上のラプンツェル」「カーズ2」「母なる証明」「ヒックとドラゴン」「upside down」「ブラック・スワン」「第9地区」「川の底からこんにちは」「ハート・ロッカー」「ダークナイト」「アイアンマン」「プリンセスと魔法のキス」「その街のこども」「ピース」「チェイサー」「フローズン・リバー」「監督失格」「クレイジー・ハート」「イングロリアス・バスターズ」「戦場でワルツを」「君のためなら千回でも」「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」「冬の小鳥」「10万年後の安全」「ライフ・イズ・ビューティフル」「8 mile」「ゴモラ」「白いリボン

を見てる。(メモも兼ねている。書いとかないとあっという間に忘れてしまうからな)

まあなんというか佳作揃いなわけなのですが、このなかで、サウダーヂは飛び抜けて出来がよろしくない。ある面では。

たとえば、特に前半、セリフがモコモコモコモコしていてすっごく聞き取りづらい箇所が多い。が、特に頑張って聞きとろうという気になれない。これといって面白いことを言ってるわけでは絶対にないからだ。

ときどき意図や意味を図りかねるシーンが出てくるが、これも特に考える気力がわかない。わかる気になれなかった。

にもかかわらず、この映画は無茶苦茶刺さった。上記に羅列した映画の中でも刺さり方でいうとトップ5に入ると思う。

それはまあ、言ってしまえば劇中で繰り返されるなんともぼんやりとした会話や、現実逃避行動、そしてひたすら酩酊を求める登場人物たちの姿にひたすら身につまされたということなんだけどね。ひたすら呆然としているうちに破滅していく彼らは、いつかの俺そのものになるんじゃないかと思うと本当に怖い。

社会の中に居場所を確保することが生きていく意味であるならば、もしひとたび社会が個を強く選別しはじめたとき、選別されなかった者はどう振る舞えばよいのか。呆然とし、酩酊し、時々湧き上がる怒りに身を任せるしかないのだろうと、思った・・・というか予感したのでした。