ボンクラのまま大人になった貴様に告ぐ。"グラン・トリノ"を見よ!

ネタバレありっぽいので注意です。スンマセン。

仕事をサボって午後の大スクリーンで見てきました、"グラン・トリノ"。

「ウーっ・・・・・・糞色の小さいサラ公は仕事サボって映画鑑賞かよ・・・・・(ペッ)」とイーストウッドに凄まれそうだ。すまんな、爺さん。

本の学校ってのがあるくらいだから脚本の教科書もあるんでしょうな、きっと。この世の中には。んで、このグラン・トリノなんだがもう見事に(たぶん)教科書どおりのイイ筋なんですよ。俺なんてその手のひらの上で踊らされっぱなしですよ。

見事にかったるいところとか無駄なところがなくて、なによりちゃんと起承転結があって、イニシエーションがあって、そして、感動的。

復讐譚でもあるこの映画だが、その復讐もなんつうか洗練されてるんですよ。洗練されてて哀しくてケリにもオチにもなってて、その上痛快なんですよ。色々あるけどザマア見ろ!もちゃんと思わせてくれる。

言うことねえっす。

クライマックスシーンも見事なら、エピローグ的な最期のシーンは最高。目から水が出てきて困った。少年から男になった一人の野郎が、満を持して威風堂々風きって進む大排気量のグラン・トリノをドスドスと転がしていくのだ。

そんで、グラン・トリノが走り去っただいぶ後ろを、ごちゃごちゃとしたいまどきの車どもがからまりながら走っていくのは郷愁ってやつですかね。「イワユル中産階級の白人社会」に当たり前だが何の思い入れのない俺も、この郷愁はなんともしみた。

(郷愁とは書いたが、「中産階級の白人がメインストリームだったアメリカ」が亡くなりつつあることを、イーストウッドはこの映画で良いとも悪いとも言ってない。思うところは色々あるかも知れないが、とりあえずここでは隙は見せていない。念のため。)

ところでメキシコ系ギャングが聴いてたのはサイプレス・ヒルですかね。エンドクレジット見てもよくわかんなかった。