さよならリグレット

ポップミュージックに一応分類されるんだけど、感覚的に作りを理解できない、わかりにくい曲ってないですか。わかりやすいっていうのは一度聴いたらハナウタでわりとかんたんに諳んじられること、かな。どこかで聴いたことがあるような、と言ってしまってもいいかも知れない。念のために書いとくと、だから良いとか悪いとか嫌いとか好きとかいう話ではない。

作りを理解できない曲って、たとえば、矢野顕子の大半の曲。

レッドツェッペリンの大半の曲。

ジェフ・バックリィの曲全部。

この人たちの音を聞くたび思うが、なんでこんなメロディや展開を作れるのかまるで理解できない。俺の脳の文脈からてんでこっぱずれた、遠い星から降ってきたような音。

くるりの「さよならリグレット」を買ってきて昨日から聴いている。

最近のくるりも、遠い星から音波をピンピンと飛ばしてくる。三曲目(pray)でようやく馴染みの文脈が現れるが、それまでは(俺にとっては)予測不可能な音が連なる。3コードと8ビートで、ハイこんな感じ!というわかりやすさからはものすごい遠いところで鳴るぐるぐるうねうねしたピアノの旋律が、急にざくりとリフを刻んだかと思うとまた軽やかに逃げていく。クレジット見てみたら、ピアノはsatoshi mishiba。ミシバでピアノといえば、三柴江戸蔵に決まってる!と思って調べてみたらそのとおりだった。

四曲目は馴染みの文脈でも限りなく遠くにかっとばした"ばらの花"を小田和正と歌ってて、なかなかこれもすごい。