"Philharmonic or die"と"ふれあいコンサートファイナル"

"Philharmonic or die"発売が今年の二月、"ふれあいコンサートファイナル"がスカパーTBSチャンネルで放送されたのもそのころだったはずだからもう大概な話ではある。

俺はくるりの熱心なリスナーではない。持ってるCDは5枚程度。滅多に聴かない。くるりと聞いたらああこないだタモリ電車倶楽部に出てたなあとか思う奴だ。

なんで、「ワルツを踊れ」も買ってない聴いてない、"ふれあいコンサート"の開催もほとんどノーマークだった。「ほとんどノーマーク」というのは、そういえば、今にして思い出してみれば、カミさんが去年の秋「くるりのツアーがあるんだってよ」などと言ってたなあ、と思い出したからだ。さらにさっき思い出したんだけど、それに対する俺の対応は「あー、最近は弦とか入れて高尚にやってるらしいから俺行かねっス」とかいう、どうしようもないものだった気がする。ああ。

この驚異のライブ盤と映像を見てつくづく「行きたかった・・・・」と思いました。

「ワルツを踊れ」がウィーン録音で、それだけじゃなくて曲作りから音作りから全然今までと違いマース!というのを何かで読んでも、「ふーん」程度にしか興味がなかったのだけど、「ワルツを踊れ」はくるりにとってマイルストーンな出来事だったということを今更知ってガーンとしているのだ遅いよ俺。

もうちょっと説明すると、俺はくるりをなんとなく、なんとなくだけど昔のプライマルスクリームと似てるなあと思い込んでて、どういうことかというとくるりの音作り・曲作りの変遷を趣味人のきまぐれな変化としか見てなかったんだなあ・・・・ ハイハイ上手ですねえ、はあ、今はこういう嗜好なんだあ。ではまた!みたいに聴いてたんである。

甘かった。

くるりはきまぐれどころか本質的には超求道者で、ストイックに鳴らしたい音を探した結果いろんな音が鳴ってただけなのだったと思い知りました。あー、俺はトンチンカンな誤解をしてたあああああと頭を抱えつつ、しかしすかさずウットリしてしまった。いいオッサンがウットリですよウットリ。

というわけで、求道者くるりジャイアントステップかつ最高到達点を聴かせてくれるのが"Philharmonic or die"、見せてくれるのが"ふれあいコンサートファイナル"ということになるのです。

とにかく弦のぶっとく優しい鳴りが心地よい。ぶっとくてウットリですよ。もう辛抱たまりませんよこりゃ。

クラシカルミュージックがクラシックと呼ばれる理由も、ちょっとだけ思い知りました。やっぱり300年からの歴史を勝ち抜いて残ったモノってのは普通じゃないんだねえ・・・クラシカルミュージックを聴く気にはいまんとこなれないですけど。

一番気に入ったのは「グッドモーニング」。これはなんともすばらしい。溶けそうである。ぶっとくてウットリで溶けそうなんである。大丈夫だろうか。CDから外れてるのが残念だけど「アンテナ」の頃には岸田はこういう世界を見てたのだなあ。

一番びっくりしたのが"die"(冗談です。磔磔盤のほうですね)の「ハイウェイ」。あのカラッカラに乾いた極北でこっそり鳴る曲が、ジットリネットリとした大横ノリ大会になってるんである。藤井一彦恐るべし。なんだこりゃと最初はびびったがこれも悪くないっす。

ふれあいコンサートファイナルの映像は新規にDVDが出たそうだ。