J1・J2入れ替え戦第2戦: 福岡 1-1 神戸

メインスタンドからバックスタンドに戻るとき目にした光景はすごかった。後半キックオフから二分後くらい。

駒場のレッズも見たし、ビッグスワンで発狂寸前の新潟も見た。マルコスが退団するときの仙台も凄かった。だけど、この日の博多の森はそのどれとも違う、日本的な情念がぐるぐると渦巻く坩堝だった。

13000人という来場者数を嘆く声もあったけど、雨でも、チケットが高価でもアビスパを見たい奴だけが集まったこの日の雰囲気は最高だった。

正面からそのトチ狂った光景を見たとき、「こりゃ勝つな」と思った。

ラブソング

作ってる奴が言ってるから正しいのだろう。アビスパのチャントはラブソングなんだそうだ。

あのチャントが響くのは、その思いが叶わないからだ。叶えばただの甘ったるい自慢だ。お約束のように、この日もチームは応えられなかった。

誰もが覚悟していた、「らしい」結末。

だけど矢つき刀が折れるまで戦った選手は本当にかっこよかった。あの濃ゆいラブソングを捧げるに値するかっこよさだった。

松田

試合後会見を終えた神戸松田監督は、ひっそりと涙をこぼしたそうだ。

昇格した神戸は恐らく新監督を招聘するだろう。「教え子」を蹴落とし、そして自分はクビになる。もちろん神戸にとって松田は大貢献者であるのに違いはないから無碍に扱うことはないだろうが、しかし監督としての限界はそれほど高くない。

そしてこの尋常じゃない事態に、松田はいつもと違う人格を演じたように思う。

二戦目試合開始一時間まえ、ピッチ中央に松田が出てきた。スタンドに目をやり、ブーイングに軽く拍手する。「いつもどおりのことをやった」とコメントしたらしいが、もちろんそれはウソだ。

ロングボールで亨を狙った戦術もそうだ。一対一の対応に弱い吉村とアレックスに、茂木と朴を張り付けたこともそうだ。あの無残な柏戦が典型だったように、頑なに相手に合わせたことをやらないはずの男が、別人のように振舞った。

かつて松田は、こういうことを言っていたという。

「福岡という土地は、自分のサッカーと違うサッカーを求めている」

それをラテン的だと書いた新聞が去年あったが、ならば、土地にあったサッカーをクラブはまず目指すべきだったのだと思う。それは強い弱い以前の問題だ。自分らは何者なのかをまず考えなければいけなかった。

この四年やってきたサッカーは福岡に向いてなかったと俺は思う。決別はこういう形でやってきた。それはそれでいい。

次に松田とピッチで向き合うことがあったら、俺らは特に何の感慨もないだろうし、それは彼も一緒だろう。

これで本当にさよなら、である。

飲み

試合後は高邁な某飲み会に闖入し、迷惑をかける。

夜半すぎ、偶然某氏と遭遇。博多口、サシで朝まで語り合う。

恩師

サウナに行ったあと、小学時代の恩師に会いに行く。

お元気な様子。リタイアして数年たつのに未だにスパルタンな目標管理で自分を律してた。こっちもすっかり元気になる。

懐かしい写真などいろいろ見せていただく。

帰り

夜の飛行機で東京へ帰る。帰宅後、発熱。