30節: 鳥栖 1-1 福岡(追い風参考)

札幌戦を諦めて鳥栖戦に行くことにした。鳥栖スタジアムには一度行ってみたかったし、恐らく当分はないだろうダービーを体験しておきたかったし、電車でGO!ってみたかったから。
(福岡サポーターがあまり来ないとわかっている とんでもないアウエーに行くのもそれはそれで魅力的なんだよな。なんなんだろうな。次の札幌戦は連休中だし、そこそこの人数が行くと思うけど)


行き

お金をケチって18きっぷで行くことにした。ちょうどいいことに2日分余っている。
山手線内回り始発に新宿で乗り、延々と普通列車を乗り継いでいく。博多駅に着いたのは家を出た21時間後の1:13だった。
今回失敗したのは、食い物を何も用意しておかなかったこと。いまどきのJR東海と西日本の番組は完璧すぎて、乗り継ぎ時間はほとんどが5分以内。1分も珍しくない。トイレにも行けないし、駅弁も買えない。つうか駅弁っていまどきあんまり売ってないのね。
山形とか札幌に18きっぷとか東日本ナントカきっぷで行くときは乗り継ぎの悪さにいつも怒ってたんだけど、あれはJR東日本の優しい心遣いなのかも知れん。
前の日一睡もしてなかったので間欠的に爆睡を繰り返す。よく寝過ごさなかったもんだ。運が良かった。

関西に入ったあたりから、車内の人たちの方言を聞きたくて音楽を聴くのをやめた。

JR九州

JR九州のデザインセンスは独自過ぎる。関東の車両が未だに国鉄カラーとか国鉄的センスを引きずってるのに比べ、旧国鉄時代の残骸すら見当たらん。真っ白な車体に顔だけが黒い通勤車両は見事な悪役ヅラでムチャクチャかっこいい。
JR九州のデザイン顧問がこういう人らしい。

> 列車を一度も設計したことない私に、JR九州の社長が「あなたがやりなさい」

面白いなあ。

雁ノ巣

初めての雁ノ巣。これも当然18きっぷで行ったんだけど、雁ノ巣ってすげえ駅なのね・・・・何もかもがなさ過ぎて笑ったわ。
駅に行けば、どこで練習しとるのかわかるだろうというのが甘かった。案内とか皆無。
聞こうにも駅員がいない。
人もいない。
どうしようもないんで駅から少し歩いてみたら駅向かいにコンビニみたいな店がある。店の方に「サッカーの練習場ってこの辺にありますか?」と聞いたら「アビスパの?」という反応。なんだ、一応認知されてんじゃねえか。

この日は福岡大とのTMで、スタメンはすさまじいメンツが前線に並んだ。よくわからんがサテの試合っていつもこんなんなの?前の二人が太田と林。両サイドに福嶋と釘崎。真ん中に有光。有光は相手選手を追っかけまわしたり、ボールを前後左右に捌いたり、サイドに入り込んでいったりという、最近の恭平みたいな仕事をしていた。
しかし、なんか未来があるんだかないんだかわからんメンツで・・・・正直ちょっと寂しかったな。

大学生とJリーガーの試合って今までほとんど見た事なかったんで、随分な感想なんだけど、プロリーグでメシ食ってる連中はコンパスが全然違うんだね。ボールをコントロールできる範囲がボール半分から一個くらい違ったと思う。単なるガタイのいい・悪いとも違う、なんか得体の知れない資質だと思った。

前半途中からハーフウエーラインあたりに移動したら、そこでブツブツ言ったり大声で福大の選手に指示を出してる人の"ブツブツ"がすごい面白くて興味深い。後で気づいたんだけどユニバの監督もやってた乾さんだったみたいだ。
試合中ずっと、前の場面で選手がどう動くべきだったかをコーチらしき人にこぼしていくんだけど、一々納得させられた。一を見て十を知るのか、広い範囲を同時に見れてしまうのかよくわからんが、とにかくフィールドで同時に起こる複数のことを知ってるのだ。
乾さんが見てる試合で、こっそりマイクで声拾ったら相当面白い放送になると思った。

試合後、太田と沖本が居残り練習をしていた。ゴール前から戻されたボールをターンして受けて、そこから出してワンツーでシュートってやつなんだけど、太田は結構枠に行っていた。外すほうが珍しかったと思う。(真ん中あたりに適当に蹴ってるだけだったりして・・・・)
それはともかく、試合を見ていて太田については色々思うところが出来てしまった。
まずはケガをしない体づくりをして、またピッチに戻ってきてほしい。

後半出てたユースの選手が鈴木惇君なんだね。左サイドバックの飛鳥とポジションを入れ替えながら、主に左サイドハーフをやってた。あそこには未来が間違いなくあった。

城後は、絶対そのうちスゲエ選手になるね。トップの試合に出てないのは、今はまだまだスゲくないからだ。早くスーパーな城後になってくれ。

玄瑛

雁ノ巣を出たあたりから雨が降ってきて、かなりへこみつつ、警固小近くの麺劇場玄瑛へ。
醤油拉麺を試してみたんだけど、このラーメンはちょっととんでもない出来だった。ラーメンは余計な雑味が魅力なのだと思い込んでたけど、玄瑛の醤油拉麺は澄み切っているんだよ!そんでもって滋味あふれるようにウマイんだよ!すげえ、すげえよ!
去年行った時は、台風が来ていて西鉄もJRも全部止まってたので客はおろか店員の人も出勤しておらず、店主の入江さんにサシでじっくり話を聞かせてもらったんだけど、この方はコテコテの熊本ラーメンの店で修業してるんだよね。当時はなにか新しいことをやろうと提案すると全部「せからしか」で一蹴されてたらしい。笑
そんな男が結局伝統芸能チックなラーメン作りに飽き足らず、「せからしい」ことを積み上げてった挙句、このラーメンに至ったという事実。くーっ、たまらんなあ。俺はこういう話が好きすぎる。

玄瑛の醤油拉麺はほんとに身体によさそうなんだよなあ。ああ、いま身体にいいものが入ってきてますよ大変だ!と内臓が教えてくれる感じ。

店を出るときに厨房にいた入江さんに「うまかったです」と声をかけると
「どっから来たとですか」(まあ当たり前だが去年お話してることは忘れておられる。また、どうでもいいが俺が口を開くと一言で余所者だとバレてしまう。九州独立戦争の折、スパイと間違われて始末されないか心配だ)
「東京からです」
「東京から。なんしに来たとですか。仕事?」
「サッカー見にきました」
「サッカー!?」
鳥栖で試合があるんですよ」
「はあ・・・」
ぴんと来ない様子だったが、ここで店員の方が
「あー、今日九州ダービーですよね」
とフォローをくれる。
「行きたいんですけど、なかなか行けないんですよねー」
「じゃあ行きましょう!」
「ダメですよ。彼おらんと、店やすまんといかんもん」

わざわざ店先で見送っていただき、恐縮する。

電車でGO!

地下鉄博多駅のトイレで着替えて集合場所へ。
いやー、いいなー。普段福岡サポーターの大群を見ることがないので、一々喜んでしまう。
アビレボ君に「いやー、相当ヒマな人なんですねー」と、誰もが思うだろうことを言われるが、お前にだけは言われたくないわ。
団体客用に使われるらしい改札を通ってホームへ移動。早速駅員の方にツッコミをいただく。「応援はスタジアムについてから」というふうなことを言われるが、フレーズの構造が「寝言は寝て言え」に近いなと思ったのは俺だけか。
途中の駅近くの路上で、「あー、乗れんかった・・・・」という顔をして電車を見送っていた、レプリカ着用の人たちがちょっと面白かった。
雨が上がった。

鳥栖

車内から鳥栖スタジアムが見えてくる。思わず厳粛な気分になってしまう。日本の他のどのスタジアムとも違う、異様な外観の構造物。車窓から大きく見えるスタジアムといえば仙台もそうだが、ああいう華やかな感じは鳥栖にはない。無骨でそっけない。それがある種の威厳につながっていると思う。鳥栖は田舎だが、あのスタジアムは本当にすばらしい。これはいくら強調しても言い足りない。あのスタジアムで日常的に試合を見れるのは幸せなことだ。
鳥栖駅に着いたら早速始まる。いやー、ほんと、一々喜んでしまう。「こんなに乗ってたっけ?」というくらいの人が跨線橋を降りてくる。五百人くらい?もっと?
そのまま鳥栖サポーターへ挨拶に出向く。今回は鳥栖も煽り断幕を用意してた。出来はかなり鳥栖っぽかったけどな。

集会前、二階席最上段へ行ってみる。台風が来る前の九州の空ってこんなだよなあ、という空が山の向こうに見える。これにも一々感動。俺、どっかおかしいんじゃなかろうか。

18時からコンコースで集会。ものすげえ声量がコンクリートに響き渡る。外にはパトカーが待機。ご苦労様なことだ。

試合

ゴール裏に音の壁が出来上がる。福岡はホームゲームが年に24試合あるとTさんが言ってたけど、本当だ。向かい風が常に吹いていたけど、ピッチを声が制圧する。あれがホームじゃなくて何なんだ。
だけど、それを唯一わかってない奴がたまたま主審だった。

岡山は電柱役ではファーストチョイスだと思った。高くて、頑丈で、無理が利いて、足元も悪くない。大塚へのスルーパスは血管が切れそうになった。

グラウシオのゴールは震えた。
終始全く負ける気はしなかった。

あとは興奮しすぎていてあんまり覚えてないっす。

とにかく、なかなか楽に勝たせてもらえないものだ。

帰り

夜はちゃんぽんを食べ、ビールを呷る。試合が終わったので、今度は台風が来るよう祈る。150km/hくらいで来てくれて、急にノロノロに減速するよう祈る。飛行機が飛べなかったら福岡に居れるからね。朝5:45に起き、不穏な空の色に一瞬喜んだが7:10の飛行機で東京へ帰る。

結論

福岡は食い物がうまくてそこそこ都会でそこそこ田舎で、その上女の子もかわいくて、博多っ子は開けっぴろげで人がいい(何だっけ?)。地元のプロサッカーチームは今は強くないけど、30年後には強くなってると思う。