26節: 山形 1-1 福岡

誠史のフリーキックがバーを叩き、バウンドしてネットを揺らしたとき、ボールのスピンが完璧だったのに、後半44分の同点ゴールだったのに、誠史のゴールだったのに、バンデーラにぶらさがっていた連中は歓喜の声ではなく、うなり声のような怒鳴り声のような、不思議な声を一様に発した。

行き

同じ職場の高橋君が、金曜から天童に帰省していると聞き、試合開始まで山形を案内してもらうことにした。

一緒に飲みながら18きっぷで山形へ行くつもりだったTさんは衆院解散の影響をモロにうけ、今回は見送り。

一人で新宿から4:45の山手線始発に乗り、日暮里でいわき行き常磐線へ乗り換え。仙山線を使って14:00すぎに山形着。完徹だったこともあり、アルコールは抜き。

道中、アドバンテージルーシーを聴いてた。

四年前にsolarisから出した「杏の季節」収録の「地球」はとんでもない名曲だ。淡々としたテンポで淡々と静かに覚悟を決めていく様がこれまた淡々と歌われる。ときどき不穏な不協和音が絡む。不安だけど不安がっていては仕方ないっすよ、と促してくれる。天晴れなド名曲だ。

山形駅改札口で高橋君と合流。

冷やしラーメン

俺は知らなかったのだが、世の中には冷やしラーメンという食べ物がある。これが山形発祥らしく、オリジナルを考案した「栄屋本店」に連れてってもらう。

「それ冷やし中華と何が違うんだよ」

「全然違いますよ! 俺は冷やし中華は大嫌いです!」

という高橋君の怒号をうけつつ食してみる。普通にうまかった。

欠点といえばとんこつパワーを充填できないところか。

ところで山形のそば屋は、実に本格的なそば屋でもラーメンを出すところが結構あるらしく、栄屋本店も実際はそば屋らしい。

高橋君が「あのバイトの子はたぶん山大(山形大)ですよ」と言い出したのでその子に聞いてみると当たりだった。すげえよ高橋君。きっと匂いで分別してるんだと思うんだが、その極意については教えてもらえなかった。

10分でラーメン一杯をつくるくらいの厨房のペースにおどろく。ラーメンが出てこないため、相席で10人くらいが座っている大きなテーブルで全員が押し黙ってコップ水を飲んでる姿は壮観だった。

高橋君曰く、「こっちでは頼んだものが出てくるのがおそいからといって、怒る人を見たことはありませんねえ」。

山形の人はのんびりしているのだ。

旧県庁

栄屋本店ちかくの旧県庁を見に行く。優雅な建物だ。優雅すぎてこれじゃ仕事できねえと思った。

蔵王温泉大露天風呂

旧県庁を出た時点で既に17:00を過ぎていたが、蔵王の大露天風呂へ連れてってもらう。

これがすばらしい。絵に描いたような露天風呂。山形駅から路線バスで行けなくもないらしいので、山形で日中に時間が空いたら是非行ってみるべし。入浴に450円、ロッカー代に100円。しばらく出たり入ったりしつつビールを飲みたいところだったけど、もう18:10だ。行かねば。

蔵王を降りている途中から猛烈に雨が降り出す。西の空は明るかったからすぐやむだろうとは思ったが、せっかくのピッチが台無しだ。

ベスパ着

18:45ごろ駐車場につく。雨は既に小降りで、開始のホイッスルが吹かれたころにはほぼ上がった。

高橋君

とくにサッカーに興味なんてなかろうと思ってたので、ベスパまで送ってもらって解放するつもりだったが、「昨日チケット買いましたよ」。なんでも、先週の三ツ沢の試合にも行ってたらしい。

「試合後、県民歌を歌ってたらシミスポに怒られたらしいじゃん」

「えー、あれ県民歌なんですか?」

「知らんがな」

バックスタンドで見る高橋君と別れ、出島へ。

試合

中盤の底に北斗が入り、恭平はワイパーのようにその前を動き回る中盤構成だった。

当たり前だが今の北斗にはボランチは厳しい。そこで持っちゃダメだろってところで持ち、そこで取られちゃダメだろってところで取られる。突破ひとつで褒められるSH/SBとは違い、ボランチは減点主義のポジションだ。ミスが許されない、しんどいポジションだ。そこでミスを連発する北斗を見ていて、米田はやっぱりすごかったんだなあとふと思ってしまったりした。

前半、アビスパは意識してペースを抑えてるように思えた。

後半に入るとペースをあげた福岡の時間帯があったのだが、決定的チャンスになりそうになるとお約束のようにズルリと滑り、シュートまで至らない。

そうこうしてるうちに失点してしまうんだが、やはり山形右サイドは脅威。臼井は得点シーンはなぜか左サイドに居たらしいが、そのほかにも当たり前のように佐々木とポジションを代えていたりとやりづらいことこの上なかった。

このころになると、福岡の選手はかなり萎えてたと思う。何が原因なのかはよくわからんが、できたらボールを触りたくないです的雰囲気を醸している選手がいた。

ところで、この日のゴール裏は雰囲気がよくなかった。

例えば、有光が出てきただけでデカい声でブツブツ言ってる奴が居た。何もやってないうちから文句言ってどうすんだ?

(まあ、有光は本当の本当に何もやらないまま交代させられてしまうわけだが・・・・交代させるほうにもびっくりしたし、本当に何もしなかった有光にもびっくりした。)

目標はあくまで優勝だというのはわかるが、焦っても仕方なかろうもん。どっしり構えてサポートせんと。

挨拶しにきた選手に、大将は「お前ら全員移籍しちまえ!」と声を荒げていたが、仮にもコールリーダーつとめとる人間の、余裕が感じられない姿にはちょっと悲しいものがあった。

舞鶴山

高橋君と再度合流し、駅まで送ってもらう。高橋君の第一声は「あー、勝ち試合を落としましたよー」だった。

途中、救急車を見た。

天童市民 心の山<(c)高橋君>、舞鶴山に寄っていきましょうと高橋君が言い出したので最後に連れてってもらった。

山というよりは丘なんだけど、頂上から天童市の北側を一望できる。

5分ほど夜景をながめて、大急ぎで下山。今日はなんだか全面的に慌しい。

山寺駅まで高橋君に送ってもらい、仙山線の最終で仙台へ。

帰り

急ピッチで飲んだ挙句、ほぼ睡眠ゼロ状態で常磐線始発のドン行に乗る。

Buffalo Tomのベストを聴く。

昨日温泉でつかったタオルを顔にあてると、硫黄くさかった。

なにはともあれ、高橋君ありがとう。

<追記>

そういえば、この日も「アビスパ岩手支部」のゲーフラの人がいた。おれもああいうの作りてえなー